せり (芹) 

学名  Oenanthe javanica subsp. javanica (O.stolonifera)
日本名  セリ
科名(日本名)  セリ科
  日本語別名  シロネグサ・ネゼリ、ツミマシグサ
漢名  水芹・水斳(スイキン,shuĭqín)
科名(漢名)  繖形(傘形,サンケイ,sănxíng)科
  漢語別名  水芹菜、楚葵
英名  Javan waterdropwort, Water celery
2007/12/25 薬用植物園
2007/06/07 同上
2008/08/08 秋が瀬

 セリ属 Oenanthe(水芹 shuĭqín 屬)には、25-40種がある。

  O. benghalensis (少花水芹・水芹菜・短輻水芹) 『中国本草図録』Ⅷ/3712・『中国雑草原色図鑑』151
         
廣東・四川・雲南・アッサム・バングラデシュ産
  O. dielsii (西南水芹)
陝西・浙江・江西・廣西・四川・貴州・雲南産
    var. stenophylla (細葉水芹・野芹菜) 江西・湖北・四川・貴州産 『中国本草図録』Ⅶ/3253
  O. javanica
    セリ subsp. javanica(var.japonica, O.stolonifera;水芹)『中国雑草原色図鑑』149
    subsp. rosthornii(卵葉水芹)
湖南・兩廣・四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅶ/3254
  O. linearis
    イトバゼリ subsp. linearis(O.javanica subsp.linearis, O.sinensis;
         綫葉水芹・中華水芹)
         
奄美・臺灣・華東・湖南・四川・貴州・雲南・アッサム・ヒマラヤ・インドシナ産
    subsp. rivularis(O.rivularis;蒙自水芹・野水芹・溪岸水芹)
貴州・雲南産
   
 セリ科 Apiaceae(Umbelliferae;繖形(傘形) sănxíng 科)については、セリ科を見よ。
 和名の語源については『日本国語大辞典 第二版』を参照。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)水斳に、「和名世利」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)芹に、「和名世里」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』22(1806)水■
{艸冠に斳}に、「ツミマシグサ古歌 ネジログサ同上 ネゼリ セリ」と。
 北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・中国(西北以外の全土)・モンゴリア・極東ロシア・ザバイカル・インドシナ・ヒマラヤ・マレシア・ニューギニアに分布。
 田の畦や湿地に生じる。近年は、水田で栽培することがある。
 中国では、蔬菜として食用にするほか、根・全草を薬用にする。
 極めて古くから栽培していたものたとされる。賈思勰『齊民要術』
(530-550)には「種蘘荷芹■{草冠に豦}」が載る。
 日本では、春の七草の一。嫩葉のあくを抜き、蔬菜として食う。また根を賞味する。
 『万葉集』に、

   あかねさすひる
(昼)はた(田)(賜)びてぬばたまの
     よる
(夜)のいとま(暇)につ(摘)める芹子(せり)これ
   ますらを
(丈夫)とおも(思)へるものをたち(刀)(佩)きて
     かにはのたゐ
(田居)にせり(芹)ぞつみける
       
(20/4455,4456;727年葛城王と薩妙観命婦の贈答歌)
 
 西行(1118-1190)『山家集』に、

   こぜりつ
(摘)む さは(沢)のこおり(氷)の ひま(隙)たえて
     春めきそ
(初)むる さくらゐ(桜井)のさと
   なにとなく せりときくこそ あはれなれ 摘みけん人の 心しられて
     
(俊秘抄下参照。)
   かつすゝ
(濯)ぐ 澤のこぜりの 根をしろみ きよげに物を おも(思)はずもがな
 

   我ためか鶴は
(食)みのこす芹の飯 (芭蕉,1644-1694)
   芹焼
(せりやき)やすそわの田井の初氷 (同)

   うすらひやわつかに咲る芹の花 
(其角,『猿蓑』1691)
   我事と鯲(どじょう)のにけし根芹哉 (丈艸,『猿蓑』1691)

   これきりに径
(こみち)(つき)たり芹の中 (蕪村,1716-1783)
   古寺やほうろく捨
(すつ)るせりの中 (同)
 

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